中学生の時、教師歴の長い白髪混じりの担任の先生に「お前ほどのんびりした生徒はみたことがない。」と言われた、長女のフラウビショフです。
人はなぜ、山頂をめざすのでしょうか。という問いはアルピニストぐらいレベルのたかい登山に対してですね。自分の限界への挑戦なのでしょうか。
私たち夫婦の趣味の一つは、ハイキングです。いまどきは、トレッキングというのでしょうか。私たちは、3~5時間くらいの白地に赤線マークの山道コースを歩きます。
スイスの自然は、文字通り息をのむほど美しく雄大で、感嘆してしまうときがあります。
輝く緑の草地、吸い込まれそうな真っ青な空、豊潤で清らかな水、きらきらしたおいしい空気。10年ここで過ごしても、その素晴らしさに魅了され続けています。
交通の不便な奥地に行ったものなら、秘境と言いたくなるような場所に出くわすこともあります。
もちろん観光立国であるスイスは、バスやケーブルカーや登山鉄道がよく整備され、また機能しています。自力でなくとも360℃連なる山並みのパノラマビューが体験できます。
年配の方も途中まで乗り物を使って登り、そこから歩きやすいハイキングコースを楽しまれています。
スイス人は、母親のお腹の中にいるときからハイキング歴が始まっていると思います。歩けないうちは両親の背中に背負われて、歩けるようになれば手をひかれて。
そんな友人たちは、揃って健脚です。皆長い脚で軽快におじゃべりしながら歩いています。
私は、短い脚で必死についていきます。滑るのが怖いので、そんなおそれのあるところは慎重になり、なおさら遅れてしまいます。
つれあいと二人の時は、気楽にかなりマイペースですすみます。
ハイキングの登り始めのペースができるまは、ちょっと大変です。だんだん汗がでてきて、鼻呼吸を忘れていると鼻もぐずぐずしてきます。まだ、3分の1も来てないのかなとか、まだこの登りはいつまで続くのか、岩がゴロゴロした道が歩きにくいな、なぜ登っているんだ私、と心の中でぼやいています。
そんなときにきまって、ふと可憐な花が目に飛び込んできて、がんばってって言われているような気になったり、一陣の爽やかな風がふっと私をつつんでくれたり、可愛い蝶々が伴走でもするようにいっときのあいだ近くを飛んでいたりします。
そんな自然の優しさに癒されると、またリフレッシュした気持ちで歩をすすめるのでした。
最後まで読んでいただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。