グリュエッツィ!スイスリーベのフラウビショフです。
4月16日の最高気温は、チューリッヒで摂氏9℃。チューリップや水仙を始め、春の草木たちは華やいでいるものの、フラウビショフは冬の身支度で過ごしています。
窓から見える明るい陽光の外の様子に、「マフラーいらないか。ニット帽いらないか。手袋いらないか。一つ薄手のジャケットでいいか。」と油断して外へでると、もれなく後悔ついてきます。
とはいうものの、今年最初のスイス産のグリーンアスパラガスを市場で買ってきたヘアビショフ。春は、ゆっくりと近づいて来るようです。
今、ほうれん草が旬です。ほうれん草は、がさ張り、洗うのも面倒なので、普段は冷凍ほうれん草さん、重宝してます。しかし、ビショフ家の方針は、季節と地産地消をモットーに掲げているため、ほうれん草のキッシュを生のものから作ることにしました。
この生のフレッシュなほうれん草、スイスでは、バラな状態なんです。カットこそされていませんが、ほうれん草の葉と茎が、日本で言えば、袋に入ったカットされた葉物サラダみたいな状態で販売されています。市場だと、それが山のようになって積まれています。
最近は、日本でもベビーほうれん草といってスイスのようなタイプのものもあるかもしれません。
私のイメージ、日本のほうれん草は、ピンクの根元がついて束になって陳列されます。ですので、束でゆでることができます。ほうれん草のお浸しは、切り口スパッと美しく、束あるいは株のまとまりのように盛りつけますよね。関東では。柔らかい葉の部分だけいただいてみて、こんどは甘い茎の部分を、ときには半々で、みたいに楽しめますよね。
スイスのバラ状態のほうれん草では、そんなお浸しできません。ほうれん草といっても、もう品種が違うのでしょう。
バラほうれん草をスチーマーで下処理し、卵液を流し、フェタチーズをパラリと散らして焼いたキッシュです。
スイスでは、一般的なきゅうりも、日本のきゅうりの4本分くらいの大きさです。皮は硬く、種の部分に水分が多く、大味な気がします。水気の影響をさけたい料理のときは、種の部分を取り除きます。
冷やし中華やバンバンジーサラダにする、細切りきゅうりをイメージしても、なんだかきれいにいきません。私のテクニック不足も大きいと言えますが。
きゅうりの皮の緑色の彩がほしいなと、皮を一部をのぞかないでいると、ちょっと咀嚼の邪魔になる気もします。いつも、なるだけ皮の柔らかそうなきゅうりを選んでいます。
ナスも、スイスでは日本のものより大きい米ナス系です。皮が硬く、肉はなんだかフカフカした感じです。グラタンなどには合うでしょう。日本の焼きナスやみそ炒めをしたい時は、トルコ系経営のスーパーマーケットへ行くと、少しは日本に近いせいなのか、日本のようなナスが手に入ります。
ある時、日本からの友人を市場に連れて行きました。元気な友人は、トマトを買ってその場ですぐ食べました。「このトマト、美味しいけど、皮が硬い!」品種の違いか、あるいは推測の域をでませんが、日本より乾燥しているスイスでは野菜が水分を逃さないために、皮を硬くして頑張っているのでしょうか。
最近、NZZ紙の日曜版の冊子にトンカツのレシピが載っていました。トンカツと言えば、欠かせないのが千切りキャベツ。
スイスのキャベツは、これもまた日本のキャベツとは大きく違います。Weisskohl(ヴァイスコール:白キャベツ)は、日本のものより色は白っぽく、葉が厚く(3~4㎜はあるかと思う部分も)、硬い。基本、調理用と思われます。機械で本当に細かくスローされたものなら、なんとか生でもいただけます。私の妥協案としては、スイスでトンカツならレタスで代用でしょう。
大好きなお好み焼きには、キャベツ必須ですが、先に煮てみる、炒めるなんてことは面倒です。面倒な人にはアイデアが、浮かびます。ザワークラウトをお好み焼のキャベツに使っています。こんなおきて破りをして、大阪・広島の方、ごめんなさい。
ここまで、野菜を中心に展開してきましたが、お肉も大変なんです。
焼肉用、すき焼き用、しゃぶしゃぶ用のカットが基本存在しないんです。考えれば当たり前で、「今夜は、すき焼き、ごちそうだ!」なんてスイス家庭はないわけです。
すき焼き・しゃぶしゃぶは、和食ブームで少し知名度も得て、またはスイス在住日本人の努力で、一日前に言ってもらえれば、それ用に切りますよ、と言ってくれるお肉屋さんもいらっしゃいます。お手軽に豚しゃぶサラダなんてできなんです。
さっと炒め物に豚小間肉とか、牛の切り落としでさくっと牛丼とか食べたくなっても、その形で売っていないんです。
鶏モモの骨をとった状態がないのも、結構ショックでした。日本の唐揚げができない。照り焼きチキンもできない。一時、YouTubeをみながら、自分でモモ肉の骨をはずすこともやったこともありましたっけ。不器用な私には大変でした。
これもまた、トルコ系経営のお肉屋さんへ行くと、骨を外したモモ肉が手に入ることを知り、利用したものです。引っ越した後は、そのお肉屋さんへ行くことがなくなってしまいました。
そんなこんなで、普段でも、人を呼ぶにしても、和食をつくるってとても大変なんです。材料はあると、錯覚をしてしまうのですが、実は求めているものはないんです。
スイスにいて、日本で作っていたように和食を作ろうとすると、この大変さどこから来るの、何かズレていくような、肩透かしにあうような、感覚を持つのでした。
それもそのはず、スイスのスーパーマーケットは、スイス人のキッチンを基準にしていて、和食の想定ないですから。
いくら豆腐が売っていようと、スイス人がそれで家庭料理を作れば、スイス感覚入りなんです。
日本にいる感覚で、スイスでは和食は作れないないという、この当たり前の事実に気付くまでに長い時間を要しました。
今では、お好み焼きにザワークラウトを使うみたいに、いくつかのこしゃくな手口を使うようになってきました。
かなり感覚的なお話でしたが、皆さまに伝わったかしら。
読んで頂いて、ありがとうございます。