グリュエッツィ ヴォール! スイスリーベのフラウビショフです。
いきなりですが、皆さまは、フェミニストという言葉に対して、どんな感じを持ちますか。
フラウビショフは、あまり良いイメージはありませんでした。なんだか、ヒステリックで、過激すぎて、怖いみたいな印象を持ってしまっていました。
言葉としては、ジェンダー論とかジェンダー問題と表現するほうが好きだなと思っていました。その表現であれば、落ち着いて話し合い検討していきましょうよ、という姿勢があるような気がして。
フェミニストに興味がないわけではありませんでした。でも、足を踏み込むのがなんだか怖いと思っていたのが正直なところです。
さて、スイスの女性参政権が認められたのは、驚くかな1971年。今年は、その50周年の節目として、スイス女性運動の歴史や現状の問題にフォーカスしてなど、様々な企画が繰り出されています。
書店がテーマとして取り上げたり、映画が上映されたり、国立博物館では、企画展が開催されています。
どこからともなく目に入ってくる、耳に聞こえてくるふぇみふぇみ空気が充満して、3月8日の国際女性デーにもちなんで、勝手に『ふぇみ祭り』を開催しました。始めは、本を3冊くらい読めば良いかなくらいの浅い気持ちでした。
上の写真は、2009年に飲んだシャンパーニュの蓋。男性器と女性器のデザイン
最初に手にとったのは、フランスの現代作家ヴィルジニー・デパントの『キングコング・セオリー』です。選んだ理由は、女性雑誌のフェミニズムを知るお薦め本だったからです。
たたみかけるように、表現をあげ連ねる情熱的な語り口。作家自身のレイプの体験や売春の経験も赤裸々に綴られています。女性が公正に扱われていないことへ彼女の怒りは、どこか爽やかで、ねちっこさやグチっぽさは微塵もありません。生来の鋭い洞察力で、問題の神髄を突きます。
デパントさんが、パンクな方ということもあり、ボキャブラリーが非常にパンクです。それを活き活きと訳された翻訳者の方に拍手を送りたいです。パチパチパチ
『ふぇみ祭り』は、そこから、少し日本の現状に触れようと『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』著者 上野千鶴子・田房永子 ステージへ。
上野先生と言えば、東大の入学式の祝辞で話題になりました。上野千鶴子さんや田嶋陽子さんは、現代の日本のフェミニストの大御所ですね。
『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』は、上野先生とマンガ家の田房永子さんとの対談形式になっており、リラックスして楽しく読みました。
田房さんのマンガが章の最初にでてきて面白いし、用語の注釈があったり、グラフ、写真も豊富で理解を助けてくれます。キンドルで読むのはつらいです。
上野先生は団塊の世代の70代半ば、田房さんは団塊世代の母親に育てられたロスジェネ世代のアラフォー。
この組み合わせが、すごい功を奏していると思います。
このジェネレーションのギャッップが、時には違う時代の視点から問題をとらえます。そしてたとえ見方が違っても、ふたりの柔軟性でギャップは楽々飛び越えて、お互いをすぐに理解し合い、対談は弾み、和やかなムードながら刺激的です。
先生が素晴らしいのは言うまでもありませんが、田房さんは理解力や表現力が冴えさえで頭の回転の速い女性だなという印象を持ちました。
この本を読むまで、田房さんのことは全く知りませんでした。彼女の仕事への、家族や夫婦関係への、社会への、真摯な姿勢に感嘆しました。
心に残った単語は、「一人一殺」です。
『ふぇみ祭り』委員会(会員一名 フラウビショフ)は、邦題『読書する女たち』ステファニー・スタール を3冊目に選びました。フランス・日本ときて、じゃあアメリカ人は何を考えてるのかと思ったのです。
英語を忘れていく危機感から、オリジナルの英語版で読むことにしました。タイトルは、“Reading women:how the great books of feminism changed my life/Stephanie Staal”です。ゼイゼイしながら、必死に読みました。キンドルの辞書機能が有難や。
著者は、一度社会へ出て、仕事・結婚・出産・子育てにバーンアウト寸前、つまり燃え尽きそうになってしまいます。ふと以前母校で履修したフェミニズムの講義をもう一度受けてみることを思いつきます。
話は、フェミニズムの講義を軸に、著者の生い立ちと日常を交差させて活き活きと描かれています。日常に押し流され自分がわからなくなっていた作者は、フェミニズムの講義を受けながら、自分を少しずつ取り戻してゆきます。
参考にしたアマゾンのコメントのとおり、フェミニズムの講義を受けているような気分になれます。フェミニズムの黎明期から現在までを体系的にざっと俯瞰することができます。
この本から、なぜフラウビショフがフェミニズムってちょっと怖い女達という印象を持ってしまったのかわかったような気がしました。ラディカルフェミニズムの印象を持っていたのだと思いました。
ラディカルフェミニズムを知っていたはずもないのですが、その過激すぎる考え方の暗いオーラみたいなものを嫌な印象として肌で感じたのでしょう。
最初に使った写真と下の写真は、ウズラの卵のパッケージです。胸のようでしょ。
ふぇみ初心者なので、これらの本を読みながら、「この本もいつか読んでみたい。この作者のことをもっと知りたい。」となり、ふぇみ読書リストが膨らんでしまいました。
さらに、まだ肝心のスイスのフェミニストの本も読んでいないし、イギリスのブッカー賞を受賞し、ベストセラーになったバーナディーン・エバリスト著の『ガール・ウーマン・アザー』、韓国のイ・ミンギョン さんなども読んでみたいと、世界制覇の大きな野望を持ってしまいました。
また、『ふぇみ祭り』活動は、今後も着々と続けていき、レポートしたいと思います。
今日は、お疲れさまでした。読んで頂いて、ありがとうございます。