ドイツ語と私

『言葉をおぼえるしくみー母語から外国語まで』

グーテンターク スイスリーベのフラウビショフです。恐れていたことが、やはり起こりました。

電子書籍リーダーを所有し、自分に日本語の本を全面解禁してから、ドイツ語の勉強が完全にそっちのけになっています。最後に文法ドリルに触れたのは、2020年の12月中旬です。

少し「ドイツ語と私」からは、テーマがそれますが、語学習得という観点でつながっています。今読んでいる言語学の本についてお伝えしたいと思います。

フラウビショフは、『言葉をおぼえるしくみー母語から外国語まで』今井むつみ、針生悦子 共著に取り組んでいます。まだ30%くらいのところなので、ブログに書いてしまうなんて見切り発進なのですが、とにかく興味深く読んでいます。

硬い感じの紹介になってしまいますが、言語習得の過程の研究を通じて、人間とはどのように物事を把握してゆくのか、言語の人の考え方への影響、などの理解が深められるのではないかがテーマです。その問いを、認知心理学の立場で、実験・分析していきます。

はっきり言って、フラウビショフには、非常に読みすすむのが大変な本なのです。

本著を読み終える前に、ソフトランディングとして、共著の今井むつみ著の『ことばの発達の謎を解く』を先に読み終えました。こちらは、易しく語られています。「そんなすごいことが、言葉を覚える過程で、乳児の頭の中で起こっているのか!」と感嘆せざるえませんでした。

その中の一つ驚いたことを書きたいと思います。

『ことばの発達の謎を解く』によれば、厳密にはお母さんのお腹の中で文の抑揚などを聞く練習は始まっているそうなのですが、最初の単語としては、赤ちゃんは先ず名詞から学んでいくそうです。

フラウビショフが驚いたのは、英語を母語とする子供は、既に2歳半あたりで不定冠詞がつくかつかないかを利用して、普通名詞か固有名詞かを分別しているそうです。

子供にマックスを見せて、

普通名詞:「犬だよ。」(This is a dog.)と言います。子供は、a dog で物の名前の前にaが付いているということは、このdogという単語は一般にこの生物をそう呼ぶんだな、と推測するそうです。

固有名詞:「マックスだよ。」(This is Max.)と子供に言えば、aがない。この一個の生物を指す単語なのだな、と考えるそうです。

ちなみに、日本語を母語とした乳児は、言葉の句切れを、助詞 は が に を などを頼りにここで単語が切れていると考えるのだそうです。

フラウビショフは、英語の冠詞・不定冠詞(the, a)、加算名詞、不加算名詞の理解に苦労した思い出があります。そんな小さな単語 aやtheやsが付くか付かないかなんて、ぶっちぎりだあ、大方の意味は伝わるだろうくらいでいました。傲慢きわまりない、宜しくない学びの態度です。苦労ではなく、無視していたと言ったほうがあっていますね。(汗)

だんだん重要さを理解するようになり、aとtheの本という薄いながら、そのことだけが説明されている本を買って読んだこともありました。読んでいる時は、納得したような気になっても、試験や実際の会話では間違いを繰り返します。

英語圏の子供がとても小さい頃から、無意識に発見した法則を利用して、言葉をどんどん覚えていくのに、何か私は根本的なことに気付かずに英語と過ごしてきたのです。

そして、日本語の感覚でドイツ語の名詞を学ぼうとすると痛い目にあいます。

ドイツ語の名詞は、英語の冠詞(the)にあたる語に、男性(der)・女性(die)・中性(das)の3つの性が、不定冠詞(a)にあたる語に、男性と中性(ein)・女性(eine)があります。名詞の複数形は、綴り・語尾・音が変化するものが多いのです。

さらにドイツ語の名詞は、文の中での役割、格で冠詞も変化します。それらを正しく覚えないと、裸の名詞本体のみが頭にあっても正しく使えないんです。(涙)

それでも、自分を名詞人間だなあ と思うフラウビショフ。名詞が好きなんです。お店の名前とか新しい食べ物の名前とか歴史上の人物の名前を覚えるのは得意なんです。

たぶんフラウビショフの脳は、赤ちゃんの時の母語である日本語の名詞習得の仕方で英語やドイツ語の名詞を習得し、使用しようとしているのかもしれません。日本語の心の辞書を築き上げていったやり方のままでいるのでしょう。

私の脳に、メッセージを送りたいと思います。

「脳ちゃん、あなたの母語である日本語習得システムは、他の言語の習得システムと違うよ。そのまんま入力して、出力しようとしても上手くいかないよ。遅かったけど、気付いてよかったね。システムアップデートしてください。」

こんなことを考える一端になる、認知心理学からみる言葉の習得についての2冊。今井むつみ著の『ことばの発達の謎を解く』は、一度読み終えましたが、何度も読み直したい本です。とても分かり易く、親しみ易く、書かれています。

今回は、一例をあげただけで、人間が言語を習得していく過程の解明は、本当に興味深く、感嘆の連続です。

『ことばの発達の謎を解く』を妊娠中に読むと、生まれてくる赤ちゃんに会うのがとても楽しみなると思います。また、学生のうちにこの本を読むと、学びの姿勢に良い影響が出るでしょう。社会人にも非常に刺激になり、学び続けることの大切さの根源みたいなことの気付きになるかもしれません。

アマゾン 星 五つ付けました。

読んでいただきまして、どうもありがとうございます。

 

 

ABOUT ME
frau Bischoff
スイス人と結婚してfrau Bischoffにはなったものの、ドイツ語習得の道は長そうだし、スイスのことも日本のことも何故こんなに知らないの?と思う日々。育犬も落ち着き、発信することで学んでいけたらというのは甘いかな?ヘアビショフと愛犬のマックスとTeam Bischoffです。

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