サリュー スイスリーベのフラウビショフです。日本では、愛らしいトイプードルは大人気。うちのマックスは、トイよりワンサイズ大きいミニチュアプードルです。
公用語が4つあるスイス。当たり前ですが、言語によってプードルの呼び名が違って面白い。
上の写真は、うちのマックスの主食のドライフードのパッケージです。はい、多言語国家スイスなのでドイツ語、フランス語、イタリア語でプードルが表記されています。
あら、良く見るとなぜかドイツ語ではなく英語ですが、ドイツ語だと字面が短くてバランスが良くないからそうしたのかしらん。
さっそくドイツ語から。綴りは、Pudelで、発音としてはプーデルになります。プードルは、今日では主に愛玩犬ですが、その昔は鴨猟の為に改良されてきた犬種。大きなカテゴリーでは、水猟犬、英語でウォータードック、ドイツ語でバッサーフントです。
ウィータードッグと言えば、オバマ元大統領は、ポーチュギーズ・ウォータードックを飼っていらっしゃいました。ほかにはスパニッシュ・ウォータードッグ、今ではトリュフ犬として名高いラゴット・ロマニョーロも水辺で活躍した歴史を持つ犬達。
もこもこのカーリーヘアと丸い垂れ耳が愛くるしい犬達です。性格も良く、運動や学習能力も高いと言われています。
英語やドイツ語のpoodleや Pudel は、水の関連です。pudelnというドイツ語の動詞の方言「(子供などが手足で)水をばしゃばしゃさせる」から来ているという説が有力なようです。英語で水たまりは、pool、puddleでp始まり。
ドイツ語と英語は水の音、水辺でのプードルの行動に着眼点がおかれているようです。ちなみに、マックスは水たまりを掘るのが好きです。
ドイツ語の形容詞のpudelnassは、びしょぬれの、ずぶぬれの、という意味です。
さて、フランス語ではCaniche(仏:カニッシュ)で「鴨をとる犬」。雄の鴨がcanard、雌の鴨がcane。猟師が打った鴨を泳いで回収してくるお仕事をしていた面が呼び名にダイレクトに反映されています。
フランス王侯貴族の鴨猟に同行するエレガントな猟犬。マックスのご先祖様、カッコ良かったのね。って、マックスは、水に入るの好きではなかったね、はははっ。
マックスは、畑で何かをついばんでいるカラスを見ると、いきなり全力疾走で捕獲しようとしたものです。絶対捕まえられないということを学んだのか、今では無視できるようになりました。たまに鳩を見て、血が騒いでいる時はありますが。
フランス語は、プードルのお仕事にフォーカスして名前がつけられたのですね。
お仕事が名前になった犬達として、細長い体躯のダックスフント(独:Dachshund)は、ダックスつまりアナグマ狩り用の猟犬なことは有名です。現在では、警察犬としてゆるぎない地位のシェパード(英:shepherd)は、羊飼犬の由来がありますね。
そしてイタリア語Barboncino(伊:バルボンチーノ)。ブルボン王朝みたいな響きだし、チーノと伸ばす語尾も耳心地が素敵という印象を持ちました。
というのはフラウビショフの感覚だけで、Barbone「もじゃもじゃの人」「濃い髭の」という意味で、大型のプードルはBarbone(伊:バルボーネ)、小型をBarboncino(伊:バルボンチーノ)と呼び、毛むくじゃらくんってことですね。
プードルの祖先といわれる、やはり水猟犬のバルビー(英:Barbet)が「顎鬚」という意味からきていると考えられるそうです。
イタリア語は、この流れの影響を大きく受けているのかもしれないですね。プードルのもこもこの被毛に注目したようです。
そう言えば、春にイタリアから入ってくるオカヒジキに似ている野菜が、「修道士の髭」という意味の、Barba di Frate(伊:バルバ ディ フラーテ)、Mönchsbart(独:メンヒズバート)と言うのでしたっけ。日本ではアグレッティと呼ばれていますでしょうか。
上の写真だと、全く野菜の全貌がわかりませんが、bart(独:髭)という表現が使われているということで。
さあ、ロマンシュ語でプードルは、何と呼ばれているのでしょうか。ラテン語にもっとも近い言語の一つと言われるロマンシュ語。
ネットで検索してみると、pudelあるいはchaun-barbetとの結果でした。chaunは、犬でbarbetは、髭。髭犬でした。イタリア語と近いですね。両言語がラテン語に近いというのが正しいかもしれません。
仮に、プードルを純日本語で無理に表現するとすれば、「尨毛の犬」とでも言えばよいのでしょうか。
どのような名前で呼ばれようとも、プードルはとても魅力的で愛される犬に違いありません。
プードルの飼い主様方、そしてどんなワンコの飼い主様も、どうぞ愛犬とたくさんの素敵な時をお過ごしください。
犬を飼っていない方も、ブログを楽しんで読んで頂けたなら幸いにございます。