タイトルのレクイエムから、音楽つながりということで。シューベルトの弦楽5重奏D956の第2楽章は、フラウビショフにとって、世界で、いえ、宇宙で最も美しい音楽の一つですと宣言したくなりました。自分のブログは自由でいいなあ。
ここのところ降ったり止んだりを繰り返すお天気が、一週間くらい続いています。春になる前の不安定な空模様。飼い主さんと犬達にとっては、喜ばしい状況ではありません。
でも自然には、こんな大地が潤う機会も、花咲き誇り緑の息吹く季節のまえに、必要なことなんだと、自分に言い聞かせるのでした。
そんな中のある晩、その日最後の散歩のタイミングです。いつものように夕飯の片づけを済ませた後、ソファに座ってお尻に根を生やしてしまう前にマックスにすっきりしてもらおうと、外へでました。
少し雨がパラパラしている感じで、手早く済ましたい気分でした。
夜の散歩は2パターンあって、大きな通りを渡って廻ってくるのと、渡らずに済む少し短いのがあります。
私もマックスも短いコース気分で一致しました。マックスも、雨に濡れるのが好きではありません。おしっこも、うんちもスムーズに終わりました。
さあ、家路へと順調でした。私たちのマンションは、敷地内に5棟の建物が建っており、その中の一棟に入っています。建物は芝や庭木の植わったグリーンの中に建ち、アスファルトの歩道部分で各棟の入り口につながっています。
その歩道がちょっと暗いなという印象を持っていました。私は目が悪いので、暗いとさらによく見えません。でも、煌々と明るくしているのも電気の無駄使いというもの。文句をいう住民はいないのでしょう。
フラウビショフは、ヘッドランプも首に下げているし。あっ、マックスのフンを探すとか、足元確認とかの、必要な時だけスイッチをいれます。常にだと、フラウビショフの顔が暗闇に照らし出されて、ホラー映画になってしまうので。
マンションの入り口まであと10mというところ、靴の底でカシャという音がしました。嫌な感じ。ランプで一瞬確認すると、やはりカタツムリを踏みつぶしてしまっていました。
起こってほしくないと思っていたことが起きてしまいました。カタツムリの薄い殻がカシャと割れたのでした。即死を願いました。結構急ぎ足だったから、相当の衝撃のはず。どうぞ中途半端に、生きていませんように。
乾いた落ち葉やプラスチックのフタだったらよかったのに。ほんとうにごめん。なんだか悲しくなりました。
違う晩に、やはりカタツムリが敷地内の歩道を這っているのを見て、気を付けないと思っていたのに。不覚でした。
死骸は、鳥かハリネズミなどが片付けてくれるといいなと思いました。そんないろいろな思いが頭の中を駆け巡りました。
なすすべもなく、その晩は残念な気持ちをかかえて家へ戻りました。
いったん忘れていたものの2日後にそこを通りかかったときに、あの晩のことを思い出しました。恐る恐る事故現場をみると死骸はありませんでした。
そのかわりに、その場所に、カタツムリの殻の色に近いクリームがかった黄色で、小さなゆりのような形をした一輪の花が落ちていました。
敷地で遊んでいた子供がたまたまそこへ落したのでしょうか。それとも風が運んできたのでしょうか。だとしたら、自然の施しのようではないですか。カタツムリが、ちゃんと葬られたと思えました。
自然に感謝を込めて。
読んでいただいて、ありがとうございます。