スイスライフ

ダウン症の人との小さなエピソード

サリュー スイスリーベのフラウビショフです。57歳にして、人生初ブロンドヘアを楽しんでいます。

さて、フラウビショフはチューリッヒの近郊の街に住んでいます。この街には、身体的・知的に障害を持つ人が共同で暮らす大きな施設が二つあります。

その施設で暮らしながら、できるだけ街に、社会に溶け込めるような様々な試みがなされているのを感じます。

施設が、カフェや園芸店を経営していたり、クリーニング業を営んでいたりします。そこで、福祉を学んだスタッフと障害をもった人たちがともに働いています。

施設内にヤギやブタやロバが飼育されていて、その世話をそこに住む人たちでしたり、健康な子供が通う保育園もあります。

緑豊かな施設内を誰でもお散歩したり、動物たちを見に行ったりして良いのです。

駅や街中で障害を持った人々を普通の街より多く見かけます。グループでお散歩していたり、通勤途中であったり。

私の使うバスの路線上に障害者の人たちが働く建物からの最寄りの停留所があり、始業や終業時間にまとまって乗り込んできます。

ある朝、私は眼科に行くためにバスに乗りました。2人ずつ向かいあい、4人が座れる部分に、進行方向と逆の席に着きました。

進行方向に若いダウン症の若者が斜め向かいに座っていました。

髪は短く刈ってあり、赤子のような新鮮な肌つやに、曇りなく、うるんで澄んだ瞳がキラキラしています。21トリソミーの特徴ではありますが、その男性は、それにも増して新鮮なオーラを発していました。

彼が楽しそうに、車のエンジンを口真似しているので、私の後ろに座っていた女性は、振り返って、彼のことを知っているのか、「もう、君と来たら!」と言って高らかに笑っています。

私も真似して「ブルン、ブルン。」と小さく言ってお付き合いしました。

男性が私に何か話しかけてきました。私は、顔を近づけて一生懸命理解しようとするのですが、スイスドイツ語ができない私には何が言いたいのかわかりません。

フラウビショフは、「私は、ドイツ語がそんなに上手じゃないんです。」と言いました。

普通は、高地ドイツ語で話してもらえるようお願いしますが、それでもわからなかったら気まずいと瞬時に判断してしまったのかもしれません。

私の容姿は、もちろん一目瞭然アジア人。彼は「ああ、英語ならわかるの。」と言い英語に切り替えたのです。

彼は、スイス兵のTシャツと着ていてるんだ、と言うことを伝えたかったのです。

私が、「ああー、スイス ソルジャーのTシャツなのね。クールね。(かっこいいね)」と言うと、とても誇らしげでした。

私は、彼がダウン症にもかかわらず英語を話すということにとても新鮮な驚きを感じました。

家に帰って、ヘアビショフにこの話をすると「両親のどちらかが、英語を話すのかもね。」と言いました。

この出来事は、まず、21トリソミ―なのに英語を話すという偏見を持っている自分を再確認したことと、国や言葉の違う両親を持つダウン症の人もいるのだ、という想定を自分が持っていなかったことに気が付きました。

バスに乗っただけで、こんな気付きを得られるなんて、この街 良い街だなあと嬉しくなるフラウビショフなのでした。

皆様も、素敵な日々の体験をされますよう。

今回もブログにお越しいただきありがとうございます。

 

ABOUT ME
frau Bischoff
スイス人と結婚してfrau Bischoffにはなったものの、ドイツ語習得の道は長そうだし、スイスのことも日本のことも何故こんなに知らないの?と思う日々。育犬も落ち着き、発信することで学んでいけたらというのは甘いかな?ヘアビショフと愛犬のマックスとTeam Bischoffです。

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