スイスライフ

もし裁判所で証言するとなったら

グリュエッツィ!スイスリーベのフラウビショフです。なんだかシリアスなタイトルです。

さて、即本題へ。スイスの日刊紙のある裁判の記事の見出しが気になりました。両親の児童虐待はあったのか、それともその子供に虚言癖があるのか、という問題が取り上げられていました。

しかし、その内容より、フラウビショフにビンっと刺さった下りがありました。

“ほぼ20年間スイスで生活し、国籍も取得しているにもかかわらず、トルコ生まれの母親は、法廷で通訳者を必要とした。”

なぜ、通訳者が必要と多くの人が思うかもしれません。20年も住んでいれば、ペラペラだろう。

しかしながら、滞在年数とスイスのパスポートを持っていることは、ドイツ語の能力に関係ないんです。(住む圏によって、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語)

母語と違う言語の土地で生活する場合、その土地の言語を習得できるかは、個人の意思や能力や置かれた環境からの強い影響を受けます。

先ず、意志の問題ですが、自分の意志で母語と違う言語を持つ土地で仕事なり学びなりの生活を送るのであれば、その言語を学ぶことにポジティブに作用するでしょう。

例えば、母語で義務教育を受けた後、異なる言語を使用する土地で学問・技術・芸術をどうしても学びたいなどの強靭な意思や強い動機があれば、その土地の言語の習得に力が入るというもの。

さらに、習得したい分野に使用する母語の語彙に新たな言語の語彙を当てていくダイナミックな刺激が言語習得を助力するでしょう。

ところで、何かを始めるのに遅いことはないという前向きな考え方もあります。遅くても問題ないこともあるでしょう。しかしながら、なんでもスポンジのように吸収できてしまう頭が柔軟な時期があります。ある程度、若いことも能力の一つです。

ですから、その土地の義務教育のようなものを受けられる年齢に住み始めることができれば、その言語の習得に非常にメリットがあります。

移民の家族で移民先の言葉を真っ先に習得してゆくのは、子供や若者です。

そして環境は、一番言語の習得に影響を与えると思います。

先ず、一番小さな単位家族が同郷人であれば、間違いなく母語で会話をするでしょう。

例えば、スウェーデンのカップルが、夫の仕事の都合でスイスドイツ語圏に住み、母親は専業主婦となり、子育てを担当します。

夫はドイツ語ができたため スイスやドイツの会社のポジションを得たとして、職場でドイツ語でコミュニケーションする機会があります。チューリッヒには、インターナショナルな企業も多く、そのような職場であれば、社内語は英語かもしれません。

母親と子供は、スウェーデン語でコミュニケーションします。帰宅した夫とは、スウェーデン語です。

日常生活では、幼稚園や学校でのお付き合い以外、母親はドイツ語を使う場面がほとんどありません。

学生時代ドイツ語を専攻してある程度のレベルに達していない限り、ドイツ語をあらたに学ばなければなりません。

しかし、オフィスで使えるようなドイツ語レベルに達するのは生易しいことではありません。書くドイツ語を使用する職を得るには、大学のドイツ語学部を履修したとか、それなりの集中的な長期の学習期間がないと難しいのではないでしょうか。

若くて、やる気と余裕があれば、スイスの職業コースの資格を取得して、ドイツ語環境の就職もありでしょう。

手っ取り早くオフィスワークをしたい場合、ある程度の若さとこれまでの良いキャリアがあれば、英語が社内語のインターナショナルな企業で働くことになるでしょう。

他の選択としては、同郷人と何か小さな事業をする、レストランや故郷に関連した日用品などのビジネス、ネイルサロン。

そうなると、事業を起こす際に申請などでドイツ語が必要になります。それこそ通訳者に入ってもらうのでしょう。でも、日常は故郷にどっぷりとつかり、ドイツ語のコミュニケーションは少なくなりがちです。

また文化的に女性を外に出さないような傾向があると、女性は益々ドイツ語にふれる機会もなくなります。

一度楽な同郷同士で固まってしまい、そこで情報交換して不便なく暮らしていると、20年なんてあっという間に経ってしまうでしょう。

職場や家庭の言語がドイツ語であって初めて、ドイツ語を話す機会を持てます。ドイツ語を伸ばせる特権のようにも感じられてきます。

たとえそのような環境にあっても、意識して学び続けるない限り、必要な表現のみの範囲で留まってしまう危険は大です。

フラウビショフとヘアビショフとのコミュニケーションは高地ドイツ語です。また、ありがたいことに家族や友人とドイツ語を使う機会があります。

フラウビショフは、先に書いたドイツ語が必要な範囲に留まる危機を感じては一念発起して、知らないうちに流されて、また急に焦った気持ちが沸き起こりを繰り返しています。

何年住んでも現地の言葉が身に付かない場合が起こりえること、住んでいればペラペラは幻想となんとなく納得されましたか。

さて、フラウビショフに刺さった理由は、もしフラウビショフが裁判沙汰になって、20年以上住んでいるにもかかわらず通訳者がついたと言われてしまうのか。

もちろん裁判沙汰になるような悪いことなんてしたくありません。悪いことをしなくても裁判になることもありますし。

それまであと7,8年という自分の滞在年数を考えてみて、勝手に焦った気持ちになったのでした。

裁判は、誤ったままで判決が下されてはならないため、通訳者が付くことは人権が保護されていいなと思います。

普段から会話中に始終聞き返しても、辛抱強く繰り返してくれて、ヘアビショフ どうもありがとうございます。

ブログへお越しいただき、ありがとうございます。

 

 

ABOUT ME
frau Bischoff
スイス人と結婚してfrau Bischoffにはなったものの、ドイツ語習得の道は長そうだし、スイスのことも日本のことも何故こんなに知らないの?と思う日々。育犬も落ち着き、発信することで学んでいけたらというのは甘いかな?ヘアビショフと愛犬のマックスとTeam Bischoffです。

POSTED COMMENT

  1. 珈琲屋 より:

    ブラジル移民のおばあちゃんが、日本語しか話せないドキュメンタリーを10年くらい前に見たのを思い出しました。そういうことなのね。事情が飲み込めたわ。それとともに、ヨーロッパで母国語以外の言語を話す人は、いつまでも学び続けているってことね~。すごいです。このブログ、たくさんの気付きがありました。

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